愛生
私が夢に出ちゃうまで私の事を考えているの?

夢の中でも私はあなたに素直じゃないの?

あなたは私を好きなの?

・・・ぐはっ。バカバカしい。

「佐藤。置いていくわよ」

蹴ってみた。

・・・起きない。

「てーい」

殴ってみた。

・・・起きない。

「佐藤、好きだよ」

誰もいなかったし、言っちゃった。

うは、きもいな、私。

ガバッ!

えぎゃ、起きやがった!

「え?なんて、言った?」

聞こえていたのかな。

地獄耳。

本人に言ったら、壊れちゃいそう。

いや、さっきのも本人に言ったんだけども。

「何も言ってないわ。帰るわよ」

佐藤に背を向けると、腕をひっぱられた。

「きゃっ・・・あ」

・・・・・・・・。はい?

何これ。

抱きつかれてるんですけど。

いやいやいやいや。理解不能。なんでこーなっちまった。

「好きってもう1回言って」

耳に息が入ってきて、くすぐったい。

・・・気持ち悪い。

「ねえ、言ってよ」

力任せに正面を向かされる。

多分今、私顔真っ赤。

真っすぐ私だけを見る彼の目。

「ねぇ」

近づいてくる。

やめて・・・

キスされる?

やめて・・・

佐藤は私が好きなの?

やめて・・・
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