大好きなキミは芸能人!?
「へ?翔平がスカウト?」
家に帰って
成宮とか言うオッサンの名刺を母さんに渡し
今日の出来事をすべて
話した。

「翔平は……やりたいの??」


俺は………
俺は……………。


「わかんねぇ~…」


「もし…芸能人になんてなったらもう……美優ちゃん達と一緒にご飯に行ったり出来ないわね…」


母さんが
上を見ながら
寂しそうに呟く。


美優と
今までどうりじゃ
いられなくなる………。

恥ずかしいけど
俺は小学生の頃から
幼なじみの美優に
片思いしていた。


俺はずっと美優の
全てを見てきた。


美優の笑顔も
怒った顔も
泣き顔も
照れてる顔も
みんな見てきた。


でも……
俺はその無邪気な笑顔を一瞬にして
奪ってしまった。


『翔平君と美優って仲いいよねっ☆付き合ってんの??』


学校でも仲がよかった
美優と俺は
よくクラスメ-トに
冷やかされていた。

隣に美優がいるのを
分かっておきながら
俺は変な意地や
プライドをはったんだ


『ちげぇ~よ!!コイツはただの幼なじみ』


『っ………』

隣にいる美優の目に
涙が溜まっているのが
見えた。


『ファァ~…眠い……』

美優は必死に
あくびで目が
潤んだようにごまかしている。

でもさ言っちゃ悪いけどバレバレだよ

ダテに10年間も
片思いしてないっつ~の

でもその日から
美優は無邪気な
俺の大好きな笑顔を
見せなくなった。


いつもどこか
寂しそうな切なそうな瞳
偽物の笑顔。


美優はそれ以来
無邪気でどこか
幼い笑顔を封印した-。
美優……
ゴメンな??


俺の一言が
美優を傷つけた……。

俺にはもう
美優を好きでいる
権利なんてないよな……

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