大好きなキミは芸能人!?
「はぁ…疲れた……」

「俺もだよ…」

ふたりで
うなだれながら
ため息をつく。

さっき
幸せが逃げるって
言った本人が
おもいっきり幸せ
逃がしちゃってる。


「次はどこ行く?」

軽く
翔平に近づく。

「そだな…」

「翔平、アレやってよ!!アレ!!!」



観覧車の隣に
出ているゲ-ムコ-ナ-の
中にある
フリ-スロ-のゲ-ム。


元バスケ部の翔平には
朝飯前………なハズ…。

それに
芸能人になってから
学校も休みがちになったから前のイキイキした
翔平を取り戻せたらな~と思って。

まぁ
ぶっちゃけ景品の
クマのぬいぐるみも
欲しいんだけど。

「っしゃ!」


あたしの提案に
機嫌よくノッてくれた
翔平。

あたしは
後ろで見守る。


お金を払って
一回目のトライ。


「おっしい~」

一回目は
失敗。


二回目も……
失敗。

ラスト
三回目……

「翔平頑張って!!」

いつの間にか
あたし達の後ろには
野次馬みたいな
人だかりが出来てて……

「さっ、ラスト!」


初めて見た
翔平の真剣な目つき。

そして
ボ-ルをゴ-ルに向かって投げる。

「……成功~!!!」

お兄さんの
興奮気味の声が
響き渡り
周りの野次馬が
拍手する。

「おめでとう」

そう言って
クマのぬいぐるみを
翔平に手渡す
お兄さん。

「あんな彼氏いいな~」

野次馬のひとりが
ぽつりと呟いた
一言にあたしは
超敏感反応する。

……あたし達
カップルに見られてる?
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