ケンカ上等☆不良校上々↑↑
だ.誰っ……?
逃げなきゃ、と、そう思ったのに。
恐怖とか焦りで、動けずにいたあたしの腕を、誰かが引っ張った。
驚いて、あたしはただ、その勢いに任せるだけ。
背後では、車に再び乗り込む人の姿が映る。
車で追われたら、逃げきれないよ。
腕を掴む手は冷たい。
こんな時、いつも助けてくれるのは翼だけど。
翼の手は、もっと温かくて。
手が冷たいのは太陽くらいだった気がする。
「チッ」
前から聞こえた舌打ち。
背後には車のライト。
ダメだ、捕まる。
あきらめて目を強く瞑ると、物陰に引き込まれるように体が傾いた。
「ひゃっ───わっ、やっ」