ケンカ上等☆不良校上々↑↑
駆け寄って
『待たせちゃってごめんね』
そう言おうとしたあたしの足は、止まって駆け寄ることもできなくて。
気づけば、自分の足元に肩にかけていたバックが落ちてた。
ほら、よくドラマとかであるじゃん。
衝撃的場面を目撃して、力が抜けて、手に持ってたものを落としちゃう感じの。
まさに、それだと思う。
「好き、なの」
翼の近くで、
翼の温もりに包まれて、
静かに呟いたのは、あたしなんかじゃない。
「初めて見た時から…っ…」
震える声。
泣いてる、のかな。
その場にいたら、なんだかあたしまで涙が出そうで。
動けないくらい驚いてたはずなのに、勝手に体が後退していく。
目の前には、泣いてるアキちゃんと、アキちゃんの頭に手をおいて慰める翼の姿。
翼の服をぎゅっと握るアキちゃんを、すごく羨ましく思った。