ケンカ上等☆不良校上々↑↑



「安心しろって…意味わかんな───」



小さく唇から零れたあたしの言葉。

それ以上は言わせないようにと、仁はあたしを見つめて。


もしかすると睨まれてるのかもしれないけど。




「さっさと走れ。
じゃなきゃ、ここでおまえを喰う」

「く.喰うって何よ!」



凶兆な発言が、あたしを無意識にうしろへ下がらせた。




「よし、それでいい。
そのまま走れ。
絶対に途中で止まるな。
わかったな?」


手を伸ばして徐々に迫り来る仁に対して、あたしには退くしか逃げ道がない。


これはきっと、あたしを遠くに追いやるための行動で。



「待って、待ってよ。
仁はどうして、あたしに関わるの?」


こんな時に、自分は何を聞いてるんだろう。

でも、こんな時だからこそ仁の行動に疑問しか浮かんでこないよ。





「次に会った時に教えてやるから、今は離れろ」

「次、っていつ?」

「面倒くさいヤツだな、おまえ」




ため息混じりにそう吐き捨てて、突然あたしの右手を取った。






< 309 / 541 >

この作品をシェア

pagetop