ケンカ上等☆不良校上々↑↑
お店に戻れば、翼が笑顔を向けてくれる気がして。
期待してみても、裏切られた時が怖くて前に進めない。
歩幅はどんどん小さくなって、ついに立ち止まってしまった。
寒い……。
自分の両手を見て、翼が握ってくれたことを思い出す。
あの温かさに、きっと他はかなわない。
相手の心まで温かくできるのは、翼だけだよ。
───ガシャンっ
涙が目に溜まって、視界がぼんやりしてきた時だった。
背後のずっと遠くから、何かが地面に落ちたような音が聞こえて。
あたしが今まで走ってきた道だから、たぶんその先には仁がいる。
嫌な予感がして、引き返そうと体をクルリと逆向きに直した。
絶対途中で止まるなって言われたけど、もう止まっちゃったし。
引き返したって、大丈夫だよね?
躊躇いを捨てて、踏み出した瞬間、今度は。
「え………?」