ケンカ上等☆不良校上々↑↑



一気に沈んだ表情に変わる歩夢。


なんだ、本当に翼に会いに来たんだ。





───ザー−



黙り込んだあたしたちの空間では、雨の音が大きく聞こえた。


ううん、さっきよりも、確実に雨が強くなってきてる。






「あ、あの、さ……」

「ん?」


ずっと足元を向いていた視線は、あたしに向けられる。




「歩夢、二つ傘持ってたりしない?」

「かさ?」

「うん、あたし忘れちゃって‥‥‥あはは‥」




いや、忘れたあたしが悪いんじゃないからね!


放課後残れって言った、あの二人のせいなわけで。




「仕方ないなー。
はいっ、どーぞ」


ニコッと笑顔を見せて、傘を差し出してくる。




「えっ、いいの?」

「だって、みくるが濡れちゃうでしょ?」

「でも───」



歩夢の分の傘は?


聞こうと思ったら、すかさず言われた。






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