ケンカ上等☆不良校上々↑↑
「大丈夫、もう一つあるし」
「本当に?」
念のため聞き返す。
「もしかして、心配してくれてるんスか?」
「───!
そ.そんなわけないじゃん。
あああ.あたしっ、帰る」
なんか恥ずかしくて。
歩夢の手から傘を取って歩き出した。
後ろから笑い声が聞こえるんだけど。
「んじゃ、気を付けてー」
歩夢の笑い声混じりな言葉に一度振り返る。
「えっと……、あの、」
ちゃんと伝えたいのに出てこない。
「なにー?」
「あのっ、歩夢………
ありがと」
雨の音に消されちゃいそうなくらい小さかった『ありがと』。
面と向かって伝えるのって、苦手なんだよね。
「また会えるよ」
あたしが前を向いたのと同時に、
笑顔の歩夢も、それだけ言い残して歩き始めた。