ケンカ上等☆不良校上々↑↑
「別にみくるのために待ってたわけじゃないんだからね」
「……ですよねー」
それが当たり前か。
「じゃ、そういうことだから。
みくるも早く寝なさいよ」
小さい子どもに注意するみたいに告げてから、スタスタと歩いていく。
「アキちゃん、おやすみ」
「おやすみ」
歩きながら振り返ってニコッと笑ってしてくれた挨拶。
最後のおやすみは、すごく優しくて温かかった。
廊下に響かないように、丁寧に扉を開く。
部屋の状態は出て行く前と同じ。
整理されずに置きっぱなしの荷物。
電気に照らされて生まれた自分の孤影。
一直線に走って、そのまま倒れ込んだ、ふかふかのベット。
疲れた。
クリスマスって、こんなに大変な行事だったんだっけ?
ふと、寝返りを打ったとき頬に冷たいものが当たって。
よく見ると、首にかけてたシルバーの指輪。
指輪なんだし、こういうのって好きな人からプレゼントされたりするのかな。
天井からの光に反射してキラキラ輝く。
虚ろな視界の中、じっとそれだけを見つめて。
片方は、仁から渡されたもの。
もう片方は───‥
気付けば、電気をつけたまま深い眠りへと落ちていった。