ケンカ上等☆不良校上々↑↑
「戻るぞ」
結局何も言えないまま、沈黙を破るようにして翼はそれだけ告げる。
目も合わせずに、あたしの横をすっと通って。
通り過ぎていく姿を追うことも、呼び止めることもできない。
あたしはしばらく、ただその場から動けずにいた。
唯一、心の静穏を取り戻させてくれる水の音だけが小さな救い。
純粋に、翼が好きなだけなのに。
どうしてこんなに遠いんだろう。
遠すぎて、遠すぎて、遠すぎて………。
手を伸ばせば触れられる距離にいるのに。
距離を縮めようとすると、いつも離れてく。
発言はいつも唐突で。
今みたいにいきなり突き放されたりするんだ。
もし、あたしがリーダーをやめたら、翼は喜んでくれる?
今まで通り、『俺のだから』って言ってくれる?
冗談でも嬉しかったよ。
最初はなんだコイツって思ってたけど。
………こんなに好きになっちゃったんだよ。