ケンカ上等☆不良校上々↑↑
この場から走り去れたら、どんなに楽か。
それが選べないのは、走り去れば終わってしまいそうだから。
ここで逃げ出したって、また気まずくなるだけ。
そんなことは、とっくにわかってる。
だから逃げられない。
どうすればいいか道を探すあたしに足音が近づく。
近くに感じる気配。
翼がいるのは確かだから、泣いてるのを見られたくなくて顔を上げられなかった。
「……ずりぃよ」
小さくて静かな声が降ってくる。
ズルいのは翼のほうだよ。
伝えたいのに、嗚咽を堪えるのに精一杯で喋れない。
溢れる涙を拭うために止まることなく動く両手。
これじゃ、笑顔をつくることすらできないじゃん。
「無理して笑ってんじゃねぇよ」
ねぇ翼、なんでわかるの?
なんでバレちゃうの?
あたし、そんなに笑うの下手だったかな?
「バカだな、おまえ」
どうして、そんなに優しい口調で話すの?