ケンカ上等☆不良校上々↑↑
★優しい隠し事
「……つばさ…」
忘れられるはずない。
温もりも、あの笑顔も優しさも声も全部。
忘れるなんて、できっこない。
「さっきから何回名前呼べば気が済むわけ?
一緒に歩いてるこっちの身にもなりなさい」
「そんなこと言われたって………うっ、涙出そう」
「アンタねぇ」
隣から怒り爆発寸前の声。
「さっさと合流してよ、もぅ」
かき氷を持って人混みを彷徨うあたしたち。
イチゴ味を食べながら愚痴っているのは、黒がベースの浴衣を着こなしたアキちゃん。
さすが大和撫子。
それに対してあたしは……
「浴衣着てくれば良かった」
せっかくの夏祭りだというのに私服で。
「お祭りって知らなかったんだから仕方ないじゃない。
あきらめなさい」
アキちゃんの隣を並んで歩くのには、相当な勇気が必要だよ。
「ねぇ、今いくつ?高校生?」
うなだれたあたしのすぐ横から、見知らぬ男性の声がかかる。
顔をあげて見てみれば、存分にワックスで髪を弄んだ人たち数名。
桜庭方面は美人多いし、基本男子はこのお祭りに参加するらしい。
アキちゃん情報。