ケンカ上等☆不良校上々↑↑



砂で足がもつれて走れない。



「高原さん、さっきは助けてくれてありがとう」

ケンカの中心から出ようと進む途中で、あたしは美弥薇を振り返る。



「いえ、そんなことはいいのです。
私が身勝手だったばかりに」


ムカつく時もあったけど、美弥薇が落ち込んでるのも調子狂うな。




「今は逃げよう。
あたしたちじゃ勝てない。
棘は強いんでしょ?」

「えぇ。体力を考えたら、このままではあなたの仲間も───」




適わない。




それを暗示するかのように、みんなの声が飛び交う。



「みくる、アキのほうに逃げ───きゃっ」

響く高い声。


「芽咲!」

名前を呼ぶ太陽。


「白石は芽咲のほうへ。
道は俺がつくるっス」

「アユ、うしろ気をつけろ!」




もう、振り返れない。

そんな余裕ない。


芽咲が指示した通り、アキちゃんがいる方向へ急いだ。






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