ケンカ上等☆不良校上々↑↑
目の前の相手が近づいてくる中。
嘘でしょ……逃げ場が、ない。
不意に背後から近づく人の気配。
後退りもできなくなったあたしは、立ち止まって怯えることしかできない。
ヤバい。
ヤバすぎる。
このままじゃ、あたしやられちゃう。
「みくるちゃん、そのままうしろ下がって!」
「え?」
希望を見失った直後、叫び声が耳に飛び込む。
「早く!」
敵の相手をしながら必死に叫ぶ太陽に、あたしはすぐさま決心した。
この状況で迷ってる暇はない。
後方の敵なんて、前方の敵から逃げた後に考えればいい。
だから、足をうしろ向きに踏み出した───
「きゃっ」
途端に、そのまま背後から引き寄せられて。
あたしのすぐ真横。
勢いよく突き出た長い棒が、目の前の人を押し退ける。