ケンカ上等☆不良校上々↑↑
たった数秒。
でも、それがとても長く感じられる。
石化の魔法にかかったみたいに、身体も、思考も全然動かせない。
ただひとつ、重なった手が絡むように繋ぎ直されるのを感じ取れるだけ。
熱を帯びた唇が離れると、そのまま抱きしめられて視界が真っ暗になる。
「つば、さ……?」
話すべき言葉がみつけられない。
突然のことに、発することができたのは名前だけ。
「どうやったって、ほっとけないくらい好きなヤツがいるって、そう彩音に言った」
耳元をくすぐる吐息。
あたしの心臓は、さらにまた早く大きく脈を打ち始める。
「おまえが危ないって聞いた時、マジで焦った」
万雷の花火があって良かったのかもしれない。
止められない鼓動を聞かれなくて済むから。
「もう……離してやんねぇよ」