マジックストーン
球技大会は夏休みの始まり
球技大会2日目。
初日と変わらず7月中旬の体育館は、熱気と湿気でもわんもわんしている。
「せめて準決まで行きたかったわ」
応援する気がないのか梨海ちゃんは、ずずーっとパックのゼリージュースを飲みながらバスケットボールを目で追った。
「2回戦で優勝候補と当たっちゃったんだからしょうがないよ」
バレーボールを目で追いながら、私は梨海ちゃんに声をかける。
ちょうどバレーの試合が終わり、梨海ちゃんに視線を遣るとかちりと目が合った。
「優衣は2回戦で負けて良かったって思ってるんでしょ」
「えっ? ど、どうして……」
「だって優衣、運動音痴だもの」
ふいっと顔をそっぽに向けた梨海ちゃんは少し怒ってるみたい。
でもっ。私だって、好きで運動音痴になったわけじゃないだけどな。
「ゆーいっ」
目の前にひょっこり現われたのはクラスメイトの滝本くん。滝本くんはこんがりとまではいかないけど肌は焼けていて、ぱっちりとした目が印象的なスポーツ青年。
確か、サッカー部に所属してて球技大会はバスケに出るみたい。