マジックストーン
白い歯を輝かせながら笑う滝本くんは「なあなあっ!」と私に話しかけた。
「滝本くんどうしたの?」
「滝本くんだなんて、かーたーいーっ!タカジって呼んでよぉーっ!」
「たっタカジくん?何か用なんじゃ……」
タカジでいいのにぃ〜、だなんて言われてもこれが精一杯なんだけどな……。
私の言ったことなんて興味ないのかわしゃわしゃと私の頭を撫で回す。
これもこれで困るんですけどっ。
「ちょっ……タカジくんっ。用があるんじゃないのっ?」
ぴたっと手を止めたタカジくんは、一瞬ワケ分かんないといった顔をしてから、パアッと花が咲いたように笑顔になった。
………い、忙しい人だなっ。
「ちゃあんと応援しててね?」
「……それだけっ?!」
「それだけってヒドイなあ〜。同じクラスだろ?それに、次は優勝候補と当たるんだから、クラスの女子に応援してもらわないとやる気出ないし?」
「優衣だけに言うってヒドくなあい?」
困った私に見兼ねてか、梨海ちゃんが話に入ってくれた。
安心感に胸を撫で下ろしていれば、隣で梨海ちゃんのスイッチが入った気がする。