マジックストーン
「優衣ちゃんがどうしてもって言うなら、教えてあげないこともないけど……一つ条件があるんだあ」
「………条件?」
「そう、条件」
にっと白い歯を見せながら笑う神崎先輩は「叫んじゃダメだよ」と私の口を手のひらで優しく塞いで、
「今、ヤってるんだよ」
と小さく呟いた。
瞬きを繰り返す私に「さあ行こうか」と言ってから私の口を解放した。
自由になった口は疑問だらけでどれから聞いていいのか迷っているみたい。
「あのっ」とやっと出た声はなんだかか細くて、「なあに?」と答えた神崎先輩の温かさに包まれた気がした。
「何をやってるんですか?」
「………は?それ、俺に言わせ――うーわ、そうだ忘れてた。優衣ちゃん天然なんだもんね」
「て、天然だなんて!梨海ちゃんと同じこと言わないでくださいっ」
神崎先輩は一瞬キョトンとしてから「無自覚」と呟いた。そのままの顔で。
私の腰に手を回して強制的に私を前に進ませる。