マジックストーン


「ホント、優柔不断」

「だってぇ〜」

「ほら、次、移動なんだから準備して」

「……はい」

 くしゃくしゃと私の頭を撫で、にこりと微笑む。

 あぁ、綺麗……。

 日本人離れした顔立ちに、すらっとした体型なのに豊満な胸。

 ホントに日本人なのか、と疑いたくなるようなその容姿に見惚れていれば、

「優衣っ!!」

「はひぃっ!」

 目を吊り上げ怒られてしまった。

 その日の放課後から、声楽部に混じって音楽発表会の練習をし始めたんだけど……。

 ……3年生が怖い。

 ひとつでも音を外せばギロリと睨まれちゃうし。

「……はぁ」

「優衣、辛いんでしょ?」

「へ?何がぁ?」

「ピアノ!」

「別に、ピアノ好きだよ?」

「そうじゃなくって!!ん、もぅっ。声楽部の伴奏よ!」

 ……伴奏のことね。


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