マジックストーン
「朝食――まあ、この時間でしたらブランチになりますが、何になさいますか?」
「悪かったね。昼近くまで寝てて」
「フレンチトーストでもいかがです?」
すっと目じりに皺が寄る。
「何の嫌がらせ?俺が甘いの嫌いなこと知ってるのに。 ――俺、サンドイッチ食べたい」
「かしこまりました」
丁寧にお辞儀をしてから、ドアの向こうに消えた黒爺。
しばらくして戻ってきた黒爺の手には、お皿いっぱいのサンドイッチが並べられていた。
「お待たせいたしました」
「ありがとう」
受け取った皿を、胡坐の上に乗せた。
やっぱりっていうかなんていうか、普通に美味いそれは代わり映えしない。
「お飲み物は何になさいますか?」
「部屋から水持ってきたから。 あっ……部屋の冷蔵庫に水足しといて。あとコーヒーも」
「かしこまりました」
黙々とそれを胃に落とす俺は、だいたいを食べ終えた後、後ろにいるはずの黒爺に話し掛けた。
「カノンから電話でもあった?」
最後の一つを口の中に放り投げ、後ろ手で皿を黒爺に渡す。