マジックストーン
「他にないかー?」
ていうか!神崎先輩が2年生の教室にいて良いんですか?!先生も注意してくださいよっ。
「センセー!! 女子はメイドで良いかもしれないですけど男子はどうするんですかー」
と声を上げたのはタカジくん。
「男子は別にどーでもいいので優衣ちゃんと同じメイド着ればい――」
「キモイ。 男子は執事じゃダメ?メイドと執事の喫茶的な感じがあたしはいいと思いまーす」
すかさず挙手して発言した神崎先輩の意見をバッサリ切ったのはもちろん梨海ちゃん。
満場一致で決まった文化祭私たちクラスのテーマは『萌えキュン喫茶』
「優衣ちゃんのメイド姿楽しみだなっ」
弾んだ声の神崎先輩は私の頭をその大きな手でわしゃわしゃとぐちゃぐちゃにする。
「私メイド服なんて着たくないです……」
むっとして振り返れば、お花畑で生き生きと咲いていそうな笑顔が待っていた。
「着てくれなかったら1週間優衣ちゃんと一緒に授業受けるからね」
「えっ?! そ、そんなの絶対嫌ですっ!!」
神崎先輩の膝の上から逃げ出し、梨海ちゃんを盾にしたあたしは肩ごしに神崎先輩を見る。
「神崎先輩そろそろ帰ってください」と神崎先輩を見ずに梨海ちゃんは言い放った。