マジックストーン

 やっと神崎先輩が帰った後、文化祭一色の時間がやってきた。

「ねえ、梨海ちゃん……舞希ちゃんっていつ帰ってくるのかな?文化祭、間に合うかな?」

 ふと思い出した舞希ちゃんのこと。10月に帰ってくるんだよね?今が8月末だから……。

「文化祭は10月の中旬だけど……。日本に帰ってくるってことは色々と書類とかあって忙しいと思うわよ? それに、10月のいつ帰ってくるか分からないわけだし。早くて10月末じゃない?舞希が英明に来れるのは」

「えっ?! 舞希ちゃん学校英明(ここ)なの?!」

「当たり前じゃない。校長の娘をナメちゃあ困るわ」

 ふっと笑みを零した梨海ちゃんにうっとりしていると、梨海ちゃんの後ろからにょきっとタカジくんが現れたと思ったら、人差し指を唇にあて『しーっ』と。

 タカジくんはにっこりと笑い、むにーっと梨海ちゃんのほっぺを引っ張った。

「りっ、みっ、ちゃ――ぶべほっ」

 見事梨海ちゃんの裏拳がヒットしたタカジくんは鼻をさすりながら、私の隣の椅子に腰を下ろした。

 背もたれに両腕と顎を乗せたタカジくんは「彼氏に嫌われちゃうぞー」と梨海ちゃんを見上げる。

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