マジックストーン
だいたい昨日から、私、バカにされまくってるよね?た、確かに梨海ちゃんに比べたらクルクルパーかもしれないけど、寄って集ってバカにされるほどではないと思うの。
……え? もしかして、そう思うのって私だけ?私って自分で思ってる以上に、バカなの?
走りながら一人で悲しくなっている私にやっと助け船がやってきた。
「もしも……かんざ……せんぱっ」
気付いたら私はポケットで震える携帯を開き、相手を確認せずに、何の疑いもなく私は神崎先輩の名前を呼んだ。
……そっか。たかが1日神崎先輩を見なくたって、顔を思いっきり叩いたって、神崎先輩なら私を助けてくれる。神崎先輩は優しいから。
『優衣ちゃん大丈夫? 今、準備出来たから、あともう少し頑張って』
よおく聞いてね?と優しい声音が携帯電話越しに聞こえる。
『今優衣ちゃんが走ってる廊下の角を二つ飛ばして真っ直ぐ走って。で、その後左、右、右の順番に曲がって。 わかった?』
「は、いっ」
携帯を握り締めた私は神崎先輩の言われた通り二つの角を飛ばして走った。
左、右、みぎ――
「――っきゃ?!」