マジックストーン

 やっと落ち着いた私を連れて広い校舎をゆっくり歩く。

 ……こんなにゆっくり歩いてたら、また見つかっちゃうじゃ……。それになんだか遠くの方から「待ってー」とか聞こえるし……。

「あはは。大丈夫だって」

 いきなり笑いだした神崎先輩に驚いて顔を上げれば、優しさ×1000みたいな笑顔が輝いていた。

「な、何が大丈夫なんですかっ」

「え? そんなの、もう優衣ちゃんが追いかけられる心配なんてない、ってことなんじゃないの?」

「ど、どうして大丈夫なんですかっ?! あの人たち、どんどん増殖して、それに、全然諦めてくれなかったんですよ?」

 それでもにこにこしながら神崎先輩は、大丈夫大丈夫、と繰り返す。

 だから、何がどうして大丈夫だって言えるんですかっ。そこら辺をちゃんと説明してもらわな――

「っえ……?」

「結構いけてると思わない?でもなーもう少し背が低くて、脚がすっとしてた方が良かったんだけどねー」

 神崎先輩が差し出した携帯の画面には私と同じ黒と白のメイド服姿の――

「た、た、た、タカジくんっ?!」

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