マジックストーン
しばらく経って、ドアをノックする音が響いた。
窓から背中を離しゆっくりと、ドアへの距離を詰める。
「はい?」
「ナツミだよぉ。さっき電話したじゃあん」
「分かってるよ」
前髪を掻き上げながらドアを開けると、甘ったるい香水の匂いが鼻をついた。
それにしても化粧濃いなぁ。ツケマとか、三枚ぐらいくっついてそう。
アイラインもファンデーションも塗りたくってる。
「祥也(しょうや)ぁ」
「何?」
「気持ちよくしてぇ」
一番大きいソファーに向かいながら、制服を脱ぎ捨てていくナツミ先輩。
この人、俺のひとつ上なんだっけ?
3年には見えないよねぇ。
最後にリボンを取って、すでに開いている第1ボタンから第3ボタンまで開け、ブラウスとチェックのスカートでソファーに座った。
口角を上げて微笑み脚を組む。