マジックストーン


「学校一かっこ良くて、頭も良くて、色男」

「イロオトコ?」

「簡単に言えば、女たらし」

「女たらし……」

 そんな人が、何故私に声なんて掛けたんだろ……。

 しかも、初めて会った場所を思い出せ、なんて。

「ま、見た目はいいしね。仲良くする分にはいいんじゃない?」

「……仲良くしなくてもいいよね?私、ああいう人苦手なの」

「神崎先輩のこと、かっこいいって思わないのっ?!」

「いや…それは、思ってるけど、ね。一方的に話すし、その内容はまったく理解できないし」

 私の頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいだったもの。

 それに、抱きしめるなんて……。

「ま、神崎先輩、結構女を転々としてるから。たぶん、平気だと思うけど……そうね、一応、調べようかな」

「……調べる?何を?」

 教室に戻り、必要な物を鞄に詰める。

「ん。いいの。優衣は知らなくて」

「もうっ、梨海ちゃんったら」

 さっぱりの私に、梨海ちゃんは「帰るよ」と、一言。


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