マジックストーン

 あっ!という焦った顔のタカジくんはどっからどう見ても女の子みたい。

 ただちょっと色が黒いかな?なんて思っていると、これ完成版、と違う写メを見せてくれた。

「わあっ! 白くなってるっ。……ん?隣の女の子は……?」

「化粧は梨海ちゃんがね。 ああ、隣は俺と同じ3年のユウ――林 雄太郎(はやしゆうたろう)こいつがまた女装が似合うんだ」

「っえ?! おおおお男の子っ?!」

 メイド服なタカジくんの隣には全く同じ格好の林先輩。男の子だって言われても納得できないほどの可愛さ。

「……え? でも、どうしてこんな格好なんてしてるんですか……?」

 それはね、と片手で携帯をしまいながら、空いてるほうの手で私の頭を撫でた。

 なんでだろう。神崎先輩の手って妙に落ち着く。心地よく弾む感じがなんだか……。

「ゆ、優衣ちゃん誘ってる?」

「ふえ?」

「……ただ、眠いだけなの? ていうか、まだ寝ちゃだめだよ?」

「別に眠くなんか……ただ、神崎先輩の手が気持ちいいなって、思っただけです……」

 うっ、となんだかよく分からない声を発した神崎先輩は手を引っ込めてしまった。

 温かさと心地よさが一気になくなった私の頭はすーすーする。

 少しだけ。ほんの少しだけ、残念だなって思ったのは内緒のお話。

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