マジックストーン
しばらく歩いて着いた先は、生徒会室だった。
神崎先輩は何故か生徒会室の鍵を持っていて、何の躊躇いもなくそれを鍵穴に差し込み鍵を開ける。
「神崎先輩?! 勝手に入っちゃダメですよっ!」
私が慌ててドアを開けようとする神崎先輩の手を掴んで見上げた。
生徒会室って、4人の生徒会役員(英明の生徒会は会長から何もかも前生徒会役員の指名で決まるの)しか入れないんじゃないの?
それに、ほら、神崎先輩ならきっと生徒会役員の許可とか取ってなさそうだし。前、私の誕生日に有名洋菓子店にずかずか入ってって並ばずにケーキ買ってたくらいでしょ?鍵ならどうにかしてマスターキーとか。違うなら粘土で鍵の型とか取ってそう。
そんな私の心配を余所に、神崎先輩は、
「なにいってるの? カイチョーと俺、幼なじみだって言わなかった?」
けろっと、言ってのけた。ちなみに啓輔もだけどね、と付け加えて。
もはや英明で殿堂入りしちゃってるくらいチョー綺麗な坂桑千紗(さかくわちさ)生徒会長と幼なじみっ?!
……だ、だからって、生徒会室に勝手に入っちゃダメなん――
「あっ! 神崎せんぱっ」
――ってもう、入ってるしーっ!