マジックストーン
「ありがとう、優衣。 あたしも嬉しいっ。梨海と優衣と同じ高校通えるなんて夢にも思ってなかった」
ふわり、と優しく微笑む舞希ちゃん。釣られて私も笑っていると、
「そんなにしんみりとした雰囲気にしないでくれる? それより、彼氏どうしたのよっ?」
腰に手を当てた梨海ちゃんが、舞希ちゃんの肩に片手を乗せた。
「は?」
「舞希ちゃん彼氏いたの?!」
「彼氏なんていないけど。 梨海は誰と勘違いしてるの?」
「舞希いないのー?つまんないの。 でも、優衣にはいるのよ!」
っえ?! ななななな何言ってるの梨海ちゃんっ!
やっぱり、最近の梨海ちゃん変っ! 神崎先輩のこと勧めてみたり、ダメって言ったり。近ごろは『早くくっつきなさいよ、イライラするんだけど』とか、勝手に周りにいる人に『優衣と神崎先輩って付き合ってるの』って言ってみたりっ。
「ち、違っ! 舞希ちゃん違うのっ。 ただ、先輩と梨海ちゃんが勝手に――」
言ってるだけなの、と言おうとした私のブレザーのポケットが震えた。
摘むようにそれを取り出せば、「噂をすれば彼からのラブコールっ! キャァーッ! 朝っぱらからもうっ」と梨海ちゃんは騒いでる。
まさか、と思ったけど電話は神崎先輩からだった。