マジックストーン
『もしもーし。 優衣ちゃんおはよっ』
「…もっ、もしもし? ……あ、おはようございます」
『優衣ちゃんの学年に帰国子女が編入するんだよね?』
「……え? はい。私のお友達ですけど、どうかしましたか?」
私の学年に帰国子女って舞希ちゃんのことだよね? 神崎先輩、舞希ちゃんに用があるのかな?
『優衣ちゃんの友達?! 俺、その子に会いたいんだけど、今から行っても大丈夫かな? その子いる?』
「今からですか? ……今、一緒にいますけど……。その、神崎せんぱ――」
『あ、じゃあ、今すぐ行くね!』
プツー、ツー、と。一方的に切られた携帯を見つめる。
神崎先輩、どうして……。どうして、舞希ちゃんに会いたいんだろう……。
何か用があるのかな?でも、うーん。
視線を感じる、と思って顔を上げればにこにこした梨海ちゃんと舞希ちゃん。
ああ……そういえば、舞希ちゃん勘違いしてるんだっけ?
「梨海ちゃんっ! 舞希ちゃんに何言ったの? 違うの、舞希ちゃん。私は別に先輩のことなんて――」
「で? 先輩なんだって?」
なんだろ。胸の奥が痛い。