マジックストーン

 驚きすぎて声が出ない私に効果音をつけるなら、たぶん、ぽかーん、だと思う。

 だって、だってっ!!

 私があの神崎先輩に恋なんて――好きになるわけないもんっ!!

「その先輩のことなんて見たことないけど、自分でよーく考えなきゃだめなんだからね?」

「確かに舞希が言ってること合ってるんだから。っていうか、自分でよーく分かってるでしょ? あの先輩のことなんて」

 分かってるのかな? 私、神崎先輩のこと、分かってるのかな?

 確かに、春からずっと神崎先輩は毎日のように私の近くにいた気がする。だけど――

 ――私は神崎先輩の何を知ってるんだろう……

 いつも笑ってて、少し強引なところもあるけど、優しくて。私が困ってるときは必ず助けてくれる。

 あとは……あとは、何を知ってるの?

『キャァアアアアアッ!!!!』

 女の子の叫び声でみしみしと窓が鳴る。ああ、これは……あれ?

 なんだか、今日はいつもより騒がしいよね?どうしてなんだろう。

 黄色い声初体験の舞希ちゃんの眉が寄ったのを見たのとほぼ同時に、

「ゆーいちゃんっ」

 がばっと後ろから抱きしめられた。もちろん――

「きゃっ!! かかか神崎先輩っ」

 ――神崎先輩に

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