マジックストーン
「相川舞希です。 優衣、梨海と同じく2年です。よろしくお願いします」
――ていうか。 神崎先輩、舞希ちゃんと話すなら、別に私に抱きついてなくてもいいと思うんですけど。
だいたい、ちょうど二人の間に挟まれて、なんだか複雑――複雑?
「へえ〜。舞希ちゃんって言うんだ。 舞希ちゃんは彼――」
「相川?」
神崎先輩を遮って聞こえてきたのは、聞き覚えのある声。 ――あ、岩佐先輩だ。だから、今日はいつもより黄色い声が多かったんだ。
「はい。相川ですけど……?」
岩佐先輩の声はするけど、姿が見当たらない。キョロキョロとする舞希ちゃんと同じく私も辺りを見回した。
「どうしたんだよ啓輔。興味でも湧いた? こいつは岩佐啓輔。俺と同じ3年」
岩佐先輩の姿が見当たるはずない。だって、神崎先輩が私ごと振り返って、やっと岩佐先輩が見えたんだから。
「あっ!!」
振り返った瞬間。舞希ちゃんが岩佐先輩を指差して、目を見開いた。
「あ……」
今度は岩佐先輩が舞希ちゃんを見て驚いた。
「啓輔?」小さく呟いたのが聞こえて見上げる。
神崎先輩、笑ってる……?