マジックストーン
「一昨日はどうもありがとうございました。 助かりました」
「ああ、別に。 ちゃんと帰れたか?」
「はい! おかげさまであたしは帰れたんですけど……そのケガって――」
「別に、大したことじゃねぇから」
な、なに? ん? え、舞希ちゃんってあの怖そーな岩佐先輩とお知り合いなの?
で、でも! 今日会ったばっか……ん?『昨日はどうもありがとうございました』って、あれ? 昨日会ったのかな?
「なになにぃーっ。啓輔、こんな可愛い子と知り合いだったのーっ?」
どうして教えてくれなかったのさ、と弾んだ声が頭に響く。
……教えてもらってたら、どうするんだろう。 なんて、疑問が湧いたのはなぜ?
「知り合いっつーか、なんつーか」
歯切れの悪い岩佐先輩に、どう説明しようか悩む舞希ちゃん。
痺れを切らした梨海ちゃんが舞希ちゃんの制服を引っ張って「……ねえ? 舞希って岩佐先輩とどういう関係?」首をかしげた。
「どういう関係って……助けてもらった?」
答えた舞希ちゃんも首をかしげる。
「何それっ! 啓輔が舞希ちゃん助けた?!」
上から、ツチノコ発見!くらいの勢いな神崎先輩が声を上げた。