マジックストーン

「いや……えっとー」

 少し困った様な舞希ちゃんは、うーんと唸る。そんな舞希ちゃんを見兼ねてか、

「そんなに食い付くんじゃねえよ。相川困ってんだろ。 それに、俺が誰か助けちゃいけねえのかよ」

 岩佐先輩が間に入ったと思ったら、

「だって、この顔が誰かを助けるようになんて見えないじゃん」

 けろっと。あっさりと神崎先輩は岩佐先輩の怒りのバロメーターに触れた、と思う。

「はあ……祥也、てめえっ」

 ていうか、その前に。

 このあまーい笑顔の持ち主は、いつ、私を解放してくれるの?舞希ちゃんに会いに来てから、ずーとずーっと、どうやっても逃げ出せずに捕まってる私を――

「っあ! 舞希ちゃん彼氏は? いる?いない?」

 ――神崎先輩はどうしたいのかな

 舞希ちゃんに彼氏はいない。じゃあ、神崎先輩はそれを知ったらどうするの?舞希ちゃんを好きになるのかな?

 ははっ。やっと、神崎先輩から解放されるってことだよね?嬉しい……はずなのに。どうして――

「――優衣ちゃん。啓輔が怒った」

 ――嬉しくないんだろう

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