マジックストーン
驚いたって顔の神崎先輩と目が合った。
目が合っただけで、神崎先輩はその人から離れようとはしなかった。だから、だから私は邪魔しちゃいけないと思って、急いで玄関を飛び出したの。
走って走って。いつかの文化祭みたいに走って、いつも待っているバス停を通りすぎた。
いつから泣いてたのかな。涙で顔がぐしゃぐしゃ。なのに涙が止まらない。
遊ばれてたんだって知っても、好きで好きで仕方ないの。失恋だって分かっても、もう、どうしようもないくらい好きなの。
好きで、好きで、大好きで。
男の人に対して、初めてこんな風に思ったの。それは、きっと、神崎先輩だからだって分かってるけど。
神崎先輩……さっきの人と、キスしてたんだよね……。私なんかよりずっとずっと綺麗で、スタイルのいい人……。
涙、止まりかけてたのに。
だめだなあ……思い出すだけで、勝手に涙が出てきちゃうんだもん……。
いっそのこと、声を出して泣きじゃくりたい。その方が、もしかしたら、好きなの忘れられ――
「っ優衣!」
がばっと。大好きな香りに包まれた。