マジックストーン
「けいちゃんなんて嫌――」
い、と言う前に視線が刺さった。それもかなり鋭い。
「……行くぞ」
「え、どこに?」
「…………」
「あ! ぐふっ」
「気持ちわりぃっつってんだろ!」
「だってねえ? 金髪不良の岩佐啓輔くんが、公園で見た舞希ちゃんに惚れちゃったんだもんねえ」
再びぎっと俺を睨む啓輔。俺悪くないのに、って思いつつ、啓輔と舞希ちゃん意外とお似合いかもとも思っていた。
「お前もしつこいな。惚れてねえっつってんだろ」
「いや、惚れてるね。啓輔が気付いてないだけで、恋は始まってるんだよっ」
「……めんどくせえな。勝手に言ってろ」
俺が毎日啓輔連れて優衣のところ行ってるから習慣になっちゃったんだろうけど。
ま、啓輔が舞希ちゃん気になってるのは合ってると思うんだけど……何かきっかけがあればね、良いんだけど。
「祥也」
啓輔の前を歩いていた俺の背中にひどく真剣な声が刺さった。
「放課後……行くんだろ?」
「ラブレターくれるくらいだからね。行って損はないかなって」
「あっちが一人じゃなかったらすぐ電話しろ」
「やっぱり啓輔は良い奴だよね」
俺は立ち止まらずにVサインを啓輔に送った。