マジックストーン

「優衣ーっ!!!!」

 教室に入った途端、小さくて可愛い優衣を腕の中に閉じ込める。「きゃっ!かかかっ!」っていう反応がまた可愛くて可愛くてしょうがない。

「可愛いなあ、優衣は。 そうそう!今度、デートしよっか」

「デート……?」

 ゆっくり俺から離れた優衣は首をかしげた。 ……うわ。それで上目遣いは……って思ってる俺そっちのけで目をぱちくりする。

「そう。デート! 優衣どこか行きたいところある?」

 ぽくぽくぽく、ちーん。

「神崎先輩とならどこでも――」

「いい、は無しだよ」

「えっ……えっと、その……」

 あたふたし始めた優衣は恐る恐る俺を見上げた。それも眉をハの字にして。

「遊園地、動物園、水族館、映画、買い物。この中からじゃなくてもいいから、優衣が行きたいところ、考えておいてね」

「はい……」

 すでに考え始めた優衣は、うーんと小さく唸ってる。そんな優衣の頭に手のひらを乗っけた。

 案の定、「先輩?」と不思議そうに俺を見上げた優衣。

「ごめんね。今日一緒に帰れないんだ」

 そうですか、と少し寂しげに微笑む優衣は最強に可愛かった。

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