マジックストーン

 チャイムの音と日直の「きりーつ」で目が覚めた。慌てて立ち上がって頭を下げた私はあくびを手のひらで隠す。

 教科書を片付けた私の目の前で、梨海ちゃんと舞希ちゃんが深刻そうな顔をして話していた。

 トイレ行くね?と言おうと思ったんだけど、ね? なんだか、話しかけちゃいけないような感じ。

 だから、たまには一人で行くことにしたの。

 隣のクラスの女の子と一緒になって、「神崎先輩ってやっぱり優しいの?」とか「ホントお似合いだよね、二人って」とか。

 「そんなことないって」って言ったけど、本当はすごく嬉しかったの。

 だって、神崎先輩と私って正反対だと思うの。だから、何となく自信がなくて。神崎先輩には梨海ちゃんみたいな綺麗で、舞希ちゃんみたいに明るくて活発的な女の子が似合うと思ってたから。

 そんなことを考えながら、その子が出てくるまで廊下で待ってたの。

 ……あ。そういえば、デート。

 遊園地と動物園と水族館から選んでって言ってたよね。どこがいいかなあ。遊園地は絶叫マシーンとか乗れないから無しでしょ。うーん……動物園と水族館なら水族か――

「っ?!!!」

 ――な、何っ?!

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