マジックストーン

 大きな手のひらが見え……口がっ! えっ?! 押さえられてる!!

「んーっ! んーっ!」

 なんで?! どうしてっ……きゃっ!

 口が押さえられたままの私はひょいっと担がれた。それも荷物みたいに。

「んーっ! んーっ!」

 やだやだっ……離して! どうして?! 誰っ?! 私……どこに連れて行かれちゃうの?

「うっせんだよ。黙れ」

「っん!!」

 ぐっと誰かが、じたばたする私の髪の毛を引っ張って持ち上げた。 ……だれ? このおとこの人……だれなのっ?!

「別にあんたに恨みはねえよ。俺たちは神崎祥也が嫌いなだけ。ふらっと現われては人の女取りやがって……それで自分は本命、だあ? あんなに色んな女たぶらかせてたくせに、ふざけんな」

 怖いっ!! 怖いよ……。

「あいつだけ何もかも上手くいくなんて許せねえんだよっ!!!! ……だから、あいつの宝物を――あんたを俺たちがズタズタにしてやる。 あいつが一生懸命手に入れたあんたをな」

 神崎先輩っ。

「かわいそうだよな、あんたも。あんなカスと付き合ったばっかりに、知らねえ男にマワされるんだからな。 ま、あんたのこと好きなヤツも連れてきてるし、別にいいよな?」

 ……たすけてっ!

< 256 / 275 >

この作品をシェア

pagetop