マジックストーン
大きな手のひらが見え……口がっ! えっ?! 押さえられてる!!
「んーっ! んーっ!」
なんで?! どうしてっ……きゃっ!
口が押さえられたままの私はひょいっと担がれた。それも荷物みたいに。
「んーっ! んーっ!」
やだやだっ……離して! どうして?! 誰っ?! 私……どこに連れて行かれちゃうの?
「うっせんだよ。黙れ」
「っん!!」
ぐっと誰かが、じたばたする私の髪の毛を引っ張って持ち上げた。 ……だれ? このおとこの人……だれなのっ?!
「別にあんたに恨みはねえよ。俺たちは神崎祥也が嫌いなだけ。ふらっと現われては人の女取りやがって……それで自分は本命、だあ? あんなに色んな女たぶらかせてたくせに、ふざけんな」
怖いっ!! 怖いよ……。
「あいつだけ何もかも上手くいくなんて許せねえんだよっ!!!! ……だから、あいつの宝物を――あんたを俺たちがズタズタにしてやる。 あいつが一生懸命手に入れたあんたをな」
神崎先輩っ。
「かわいそうだよな、あんたも。あんなカスと付き合ったばっかりに、知らねえ男にマワされるんだからな。 ま、あんたのこと好きなヤツも連れてきてるし、別にいいよな?」
……たすけてっ!