マジックストーン
人気(ひとけ)の少ない廊下。やっと口が解放されたと思ったのもつかの間。私の目の前には鋭く光るナイフが現れた。
「っ……」
怖くて怖くて仕方ない私を乱暴に廊下に落とす。
「叫んだりしたら……分かってるよな」
すっと近づくナイフにうっすらと私が映る。それを見つめながらこくこくと私は頷いた。
「さっさと立てよ」と首根っこを掴まれたけど立てなくて。痛いくらい強引に両脇を掴まれ、立たされ、歩かされる。
ずるずると引きずられるように廊下を歩くと、一つの教室の前で止まった。
……こ、ここの教室で何されるの? 殴られたり、蹴られたりするのかな……っ。
神崎せんぱっ……助けて……。神崎せ、ぱ……い……っ。
がくん。膝の力が一気に抜けた。それでも無理やり教室に引っ張られて、思わず声が出た。
「声出すなって言っただろ」
その言葉と共に後ろから押された、というよりも蹴飛ばされた。
「っ!!!!」
振り返ると、二人が私を囲み、最後の一人が教室に入るところだっ――
「優衣に……優衣になにしてんのよっ!!!!」
――ドアをこじ開けた舞希ちゃんがおとこの人たちを睨み付けた