マジックストーン

「あん? てめぇもヤりにきたのかよ?」

「女ひとりで来たんだからその気だろ? 馬鹿じゃねぇーの?この女」

「それとも助けに来たとか?」

「それこそ相当な馬鹿だろっ!」

「死んでも治んねぇーぞ」

 ゲラゲラと笑うおとこの人。それでも、舞希ちゃんはいつもの優しい瞳で私を見てくれてる。

 もう大丈夫、って思った矢先。

 「おい、こっちにこいよ。アンタも相手してやるよ」と一人が舞希ちゃんの腕を掴んだ……と思ったら。

 聞こえるか聞こえないかの声で「……触らないで」と言った瞬間。おとこの人が糸も簡単にドアにぶつかった。

 気付けば舞希ちゃんが私を一度抱きしめてから、

「優衣っ。立てる?」

 私の頭を撫でる。そんな舞希ちゃんにこくこく頷いた私に今度は「……後ろのドアから逃げるよ」と耳打ちし、私を立たせた。

 この場にいるのが怖くて、怖くて。逃げ出したくても、逃げ出せなくて。

「……ごめんね、舞希ちゃん……」

 小さく呟いた私は震える手で舞希ちゃんの制服の裾を握った。

 もう泣かない。そう思ってもぼろぼろと零れる涙を必死に拭っていると、

「おい、てめえ。何すんだよ」

 ドアにぶつかったはずの人が復活していた。

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