マジックストーン

 その人をきっかけに他のおとこの人もギッと私を背中に隠す舞希ちゃんを睨む。

 ずっずっとゆっくりと後退りしながら、後ろのドアまで距離を縮めていた――途中。

「ナメんなよっ!」

 と叫びながら舞希ちゃん目がけて拳が飛んだ。

 バシッと高い音が聞こえて舞希ちゃんの顔には当たらなかったのは分かったけどっ……どうしよう!舞希ちゃんが危ないっ。

 でも。どうすることも出来ない私は制服を握る手を強めるしかなかった。

 舞希ちゃんの荒い呼吸が聞こえた、と思った瞬間。

 一瞬のうちにおとこの人が前のめりになったと思ったら、「んぐっ!!」とかえるが潰れた様な声と共に倒れた。

「優衣っ! 早く行ってっ!」

 舞希ちゃんは振り返って、唖然とする私に向かって早口で伝える。

「舞希ちゃんは?!」

 驚く私に目もくれず、私をくるりと回してドンッと背中を押して教室から出された。

「舞希ちゃっ……」

 舞希ちゃんがっ……舞希ちゃんがっ……誰か! ……神崎せんぱっ!助けて……っ。

 たすけて!

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