マジックストーン

 小さい子のようにわんわん泣く私は、神崎先輩の腕から逃れようとじたばたする。

 それでも、離さないと言われてるみたいに神崎先輩はぎゅっと私を抱きしめてる。

「……びっくりした。 優衣に帰っちゃいやなんて言われたから」

 耳元で優しく囁かれる甘い声に、私はぴたりと動きを止めた。

「私だって、神崎先輩のこと……もう少し一緒にいたい、って思っちゃダメなんですか?」

「ダメじゃない。だからいっぱい言って?一緒にいたいとき、抱きしめてほしいとき、キスしたいとき。 まあ、優衣からしてくれるなら言わなくても良いけどね?」

「もうっ……でも」

 少しずつでもいいから、神崎先輩に“好き”をあげよう。今までもらってばっかりだったから。

 誰の所為で、こんなに神崎先輩のこと好きになったと思ってるの?

「優衣?」

 一度、神崎先輩を見上げてから、ぎゅっと抱きついた。 ふっと優しく笑う神崎先輩を感じてから――

「えっ……」

 ――背伸びをしてキスをした

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