マジックストーン


 ◇◇◇


 すでに慣れた黄色い声に囲まれて廊下を歩く。

 玄関に向かう途中、階段の踊り場の手間に見覚えのある女の子がひとり。

「神崎先輩、ちょっといいですか」

 少し睨みを利かせて俺を見た後、深緑色のスカートを翻して階段を上っていく。

 ついてこいってことかな?

 大胆な子は嫌いじゃないけどね。

 たぶん行くところは、定番の屋上。

 そんな小さな背中を見つめ、パンツ見えそうだなぁ、なんて考えながら階段を上る。

 重そうなドアを全身を駆使して押し開けたその子は、すたすたと進んでいく。

 話の内容はだいたい予想はついてるんだよね。

 告白か、それとも――

「優衣のことなんですけど」

 やっぱり、優衣ちゃんのことか。


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