マジックストーン
迷惑なスキスキ光線
いつもと変わらない登校風景。
眠そうにだらだら歩く男の子もいれば、朝から元気に話に花を咲かせる女の子。
変わらない、変わらない、と思っているのに、やっぱり不自然な視線に困惑してしまう。
はぁ。
神崎先輩って、何考えてるのかなぁ。
梨海ちゃんから聞いたことからすれば、私も遊ばれてるってことになる、気がする。
『遊ばれてる』より『からかわれてる』?
神崎先輩って――
「おはよっ。優衣ちゃんっ」
「きゃっ!!」
語尾にたくさんのハートマークを飛ばした、軽い、甘い声。
途端、視界が真っ暗になり、頬にはブレザーの裾があたっている。
一生懸命押し返そうとしても、ピクリともしない。
「おはよう、のチュウは?」
「しっ、しませんっ!!神崎先輩、離れて下さいっ」
あの日――神崎先輩が私に、き、キスした次の日から。
何故か、神崎先輩によく会う、っていうか、現れる。