マジックストーン


「ないないないないっ!!」

「あははっ!否定し過ぎっ」

 ケタケタ笑う梨海ちゃんの声とチャイム音が重なった。

 それを聞いた梨海ちゃんは、席に戻る途中に。

「今日の放課後、遊びに行こうね」

 と、一言残して席に戻っていった。

 ………なんだか嫌な予感がするのは、気のせいじゃないよね。

 梨海ちゃんの所為かどうかは置いといて、やっぱり授業はうつらうつら。

 だから、生物の長谷川(はせがわ)先生に指されちゃったりもして。

 ぎゅっと詰まった午前中の授業を終え、お昼休み。

「ねぇ、優衣。購買行くんだけど、行く?」

「うんっ!行くよーっ」

 鞄からお財布を取り出して、梨海ちゃんのあとを追う。

 この間、梨海ちゃんがたまたまいなくて、私がひとり、教室にいたら。

 あれよあれよと、ひと、ひと、ひと!

 梨海ちゃんが戻ってくるまで、延々と神崎先輩のことを聞かれた。

 もうそんなことはこりごりだから、なるべくひとりにならないようにはしてるんだけど。


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