マジックストーン


 欠伸を噛み締めながらネクタイを締め直し、ブレザーを羽織りその脚で教室に向かう。

 朝っぱら元気良いね、なんて思っちゃうほどの黄色い声に笑顔で答える。

 俺、朝から一発してきたんだから、元気が良いのはお互い様か。

 若者の特権ってヤツ?

 今日卒業する先輩でセフレの人を電話帳から削除しながら、体育館に向かう。

 別に、在校生なんか出席しなくたっていいんじゃないかな、なんて思いながら卒業生を見送った。

 だってそうじゃん。
 みんな、寝てるんだし、俺の親友――岩佐啓輔(いわさけいすけ)なんて、学校にすら来てないんだし。

 あー、つまんないの。
 なんか楽しいこと……見つけた。

 ちょうど、玄関の上に位置する廊下の窓から。

 ここから、明るい茶髪の女の子と、楽しそうに話す黒髪の女の子が見える。


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