マジックストーン
ギギギっと錆付いた音を立てながら、神崎先輩の言ったとおり鍵の開いていたドアが開く。
あ、空いちゃった……。
驚いてる私を余所に、梨海ちゃんも普通に屋上に脚を踏み入れる。
「優衣?なに、ぼうっとしてるのよ」
「え?あ、うん……」
渋々屋上に出ると、春の風が私を包む。
柔らかい太陽の光に、かすかに花の甘い香りのする風。
今日みたいなポカポカした気持ちのいい天気の春って、やっぱり好き。
「ねぇ、起きてよ」
春の気持ちいい陽気に浸っていると、少し困ったような声が聞こえてきた。
その声を辿っていくと、金色の何かが揺れるのがかすかに見える。
「………ん」
「啓輔、啓輔、啓輔、啓輔」
「うっせんだよっ!!黙れっ!!!」
ビクン、と体が跳ねたのが分かった。
のっそりと起き上がったその人は。
金髪の髪の毛に、ガバッと開いたワイシャツ、座っているから分かりにくいけど、ズボンが腰パンっていうか、なんていうか。
わわわわっ!!
見るからに怖い人――不良じゃないですかーっ!!