マジックストーン


「ほらぁ。優衣ちゃん恐がってるでしょっ。ケイちゃん、もっと柔らかくなろうよぉ」

「“ケイちゃん”言うんじゃねぇよっ!!だいたい、俺が柔らかくなったら気持ち悪ぃだろっ」

「別に。優衣ちゃんの怖がるものがなくなるなら、啓輔が気持ち悪くったって気にならないもん」

「てめぇの都合で何で俺が……。ったく、めんどくせぇなっ」

 ちっ、と岩佐先輩が舌打ちをするのと一緒に、ギロリと鋭く神崎先輩を睨む。

 ……こわっ!!

 っていうか、この二人って“親友”なんだよね?

 柔らかい、よりもう砕けまくった性格の神崎先輩と、尖れるところは全部尖ってる性格の岩佐先輩。

 『意外』の一言でまとめちゃいけない気がするけど、その言葉しか見つからない。

 あっ、でも。

 そう考えると、私と梨海ちゃんが“親友”っていうのも『意外』なのかな?

 ちらり、と梨海ちゃんを見たのと同時に。

「優衣、そろそろ教室に戻ろう?」

「え?あ、うんっ」

 あと少し残っているおかずに手を付けずに、お弁当を片付ける。


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